猪口です。
雑誌「金融財政事情(2016.9.5)」にて≪
金融庁のwebにもソースがありますが、個人的に思うところがあり、少し書いてみます。
記事の要旨としては「信用保証協会の(中略)
実際のところ、
○経営改善支援等の実施状況について、
半分ぐらいが未実施となっているのは、 採算が合わないからなのか、100% 保証があるからできていないという理由なのか。
●経営改善支援の行き届かない先は、いわゆる小額の融資取引先、または未格付の融資先が多いと思われ、 債務者区分を劣化させたくないというインセンティブもなく、 手間暇かけられず、 経営改善支援まで繋がっていないというのが一番大きな理由ではな いかと思う。
○信用保証制度の必要性は認めるが、運営面では、保証実行後に金融機関が企業をほったらかしにしないことが必要で ある。実態は、 ほったらかしにしているところが非常に多いと思うので、 運営面の見直しをやらないといつまでも金融機関は変わらないと思 う。また、信用保証協会保証付融資の金利は非常に高く、 設定の仕方も非常に不透明である。保証料が高いというのは、 結局、全部中小企業の負担となるので、 その辺りも問題と感じている。
(金融仲介の改善に向けた検討会議(第5回)議事要旨 より抜粋)
確かに金融機関の与信機能におけるリスクコントロールのなかで、
一方で、事業再生(特に私的整理)の局面においては、
あるセグメントにおいて事業再生支援が進まないということが現実だとすれば、
この点に対応して、以下のようなコメントが添えられています。
○金融機関が事業再生支援モードに入った時には、
実態的には既に貸出は疑似エクイティ化している。 サービサーがしっかりと事業再生支援をやるのは、 ディスカウント譲渡ならば、そこにサービサーの利益幅があり、 彼らのインセンティブが働いるからだと思う。
(金融仲介の改善に向けた検討会議(第5回)議事要旨 より抜粋)
これはあくまでサービサーの話であって、
この点についての整理がなければ、金融機関として何を拠り所にして事業再生支援に取り組んでくのかという点について曖昧でしょう。
端的に言えば、事業再生の取り組みとは、
金融機関の立場からは、目先の利を捨てて(
その意味において、先述の「
ただ、これらは本質的には隔絶されたものではなく、
また、以下のような指摘もあります。
○日本は今、廃業率が非常に低い。
成熟した先進国経済においては、 経済成長率は殆ど開廃業率と比例しているので、 これは成長戦略の観点からすると非常にネガティブである。 開業率も廃業率も低いままでは、 この国はどうやっても成長しないと思う。
日本の場合、とりわけ新陳代謝が遅れているのがサービス産業であり、 もっと廃業等を増やさないと生産性は上がらない。問題は、 本来競争から生ずるべき一定レベルの廃業がこの国で起きず、 かつ、倒産を一生懸命止めてきたことにあると思う。その結果、 金融機関、信用保証協会、 経営者あるいはそこで働いている人全員にとって、 多分この国は倒産コストの世界で一番高い国となった。
○やはり、退出によるステークホルダーのコストを下げないと、特にローカル経済の生産性は絶対に上がらない。また、 生産性を向上させるのであれば、 新陳代謝を促進していくしかないと思う。 企業の生産性の向上と新陳代謝の促進が、 実は地方の人達の生活と賃金を向上させることになると思う。 こういう発想の転換ができるかが勝負だと思う。 信用保証協会の代位弁済に税金を使うのなら、 廃業で出してあげた方が良い。 その方が将来的に有効な投資になると思う。
(金融仲介の改善に向けた検討会議(第5回)議事要旨 より抜粋)
再生局面においては、
理屈の上では、事業性の適正な評価に基づいた金融機関の判断が、企業・
この視座に立つならば、例えば、
実際のところは、ここでいう「適正な評価」
というわけで、引き続き頑張って参ります。
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